念頭にあたっての各新聞の社説を読むと、グローバリズムへの
推進を主張する論説がやけに多い。
日経新聞は「グローバル化の大波に乗り成長を」と鼓舞し、
産経新聞は「五輪とTPP生かす知恵絞れ」と言い、家計の財布の
ひもが緩まず、企業が投資をしないのは「縮み思考」だと嘆く。
年金まで博打に使ってりゃ、将来不安で貯金するしかないよと
庶民は思うだろう。
個人消費が伸びないなら設備投資してもリスクが高いと企業は
考えるわけだ。
TPPをやれば国際分業体制が進むから、日本のすべての産業が
勝つわけではない。
必ずボロ負けして消滅する産業も出てくるのだ。
食料自給率が落ちたら、輸出する国の天候不順や天変地異で、
食料が輸入できず、飢餓が拡がることも予想される。
メキシコや韓国のFTAの結果を見れば、TPPの陥穽も分かる
はずなのだが。
そもそもTPPの条件規約をマスコミはなぜ具体的に報じて
くれないのか?
アメリカに取られたルールは多いはずなんだが。
朝日新聞も「グローバル化の中で」、「増幅する扇動政治家」が
出てきていることを批判するが、グローバリズムはアメリカの
ルールの普遍化であり、テロが起こる要因であり、民主主義を
破壊する要素でもあるということに、まだ気づかないのだろうか?
グローバリズムはアメリカニズムと言われて久しいが、その意味の
深刻さをマスコミも言論人も全然わかっていない。
イラク戦争のように「手遅れ」になるまで気づかないのだろう。
経済成長が必要ないとは言わないが、その手段をTPPや
グローバリズムに求めたら、格差はまだまだ開いて、国柄や
中間共同体が破壊される。
それが国民から活力を奪い、経済成長を妨げる。
悪循環の繰り返しだ。
アベノミクスはハイエクとケインズを同時に行うという手法を
取っているが、公共事業も市場経済も、国柄を守りながらやる
べきである。国家ビジョンが先なのだ。
ハイエクも真の個人主義は共同体の伝統や慣習に根付いた個人
だと言っているではないか。
ハイエクで新自由主義に邁進しながら、ハイエクを読んだ
こともないのだから、どうしようもない。